夜間飛行

カテゴリ: 大学院看護師の日常




大学院看護師の日常① 【大学院選び】 

大学院看護師の日常② 【入学準備】

大学院看護師の日常③ 【看護師から大学院へ、コストを抑えるには】

大学院看護師の日常④ 【今期の東大SPHカリキュラムと生活スタイル】

大学院看護師の日常⑤ 【今期の授業の紹介と課題量】

大学院看護師の日常⑥ 【大学院の費用 金を稼ぐこと、払うこと】

大学院看護師の日常⑦ 【大学院生は家族との時間、仕事の時間をどれだけ確保できるのか】

大学院生としての日々の過ごし方をお伝えしようと思います。

御家族がいらしたり、仕事を続ける必要がある方にとっては、大学院に通いつつどれだけの時間を自由に使えるものなのかは気になるところですよね。
あくまでも私の東大SPHでの事例に限りますが、ご紹介したいと思います。




基本的に現在は週5日間大学に通っています。
月曜日は研究室の講座があり午前中だけ、それ以外はだいたい1日4コマ(105分×4)ずつ授業があり、終わる時間は早ければ12:10、遅ければ20:30と授業の取り方によって変わります。
S1ターム(4月~6月初旬)は忙しない日々を過ごしていたのですが、それを終えたS2ターム(6月初旬~7月下旬)はちょっと楽になり、午前中に学校に行く必要があるのは週に2日間のみになりました。


課題の量も減りまして、S1タームが週5枚ほどレポートを書いていたのに比べ(1枚あたり2時間前後かかるので、これだけでも大変です)、現在は週2枚ほどで済んでいるので気が楽です。
一方、研究が始まるために読む論文数が増えまして、教授からは2年間で1万本は読みなさいとの命が。
一日当たりに換算すると10000÷(365×2)=13.7本となりますが、私の力足らずで1日5本に留まっております。。。
教授からはきちんと精読して1本/15分を目指すように言われたのですが、統計手法などを確認しながら読みますので、私などは1本30分~45分かかってしまうこともあります。休み時間や、電車の移動時間、食事中を利用してなるべく時間を有効活用しようとしているのですが、溢れる論文に自由時間が圧迫されてしまっている現状です。


授業の復習は週末にまとめてやるようにしていますが、授業によって0分~1時間とかかる時間はまちまちですね。これが毎週5時間くらいかかっています。
また、自習という形で、自分でもうちょっと学びたいなと思う個所を勝手に学ぶこともあるかと思いますが、これは日に30分とれるかとれないかです。まずはSPHの授業で学んだことをしっかり身につけようということで。
ただ、英語学習の時間だけは何とか作るようにしています。最低でも通学中にはリスニングをして、25分/日のスカイプ英会話だけは欠かさないようにしなければと言い聞かせる日々です(疲れてくるとさぼってしまいますが。。。)。


勿論、勉強ばかりでは(私は)嫌になってしまうので、日に1時間は必ず好きな本を読んだり、映画を観る時間を確保しています。ちょうど今は三島由紀夫の豊饒の海シリーズを読み始めました。

ちなみに私が紹介したカリキュラムは2年コースである東大SPHの授業を、1年間で全て取り終えようというプランのもとたてられております。ですので、2年間で取り終えるようにすれば、理論上は1/2の負担に抑えることもできます。ただ実際には殆どの生徒が1年間で授業を取り終え、2年目は修論執筆、海外研修、インターンなどにあてていますので、よほど特別な事情がない限りは1年で取り終えるつもりでいるのが宜しいと思います。

なお、東大は総合大学ですので、他学部、他研究科の授業もほとんど自由に取ることができます。選べる授業は山のようにあり(1タームにつき数百個の授業が開講されているはずです)、よりどりみどり。せっかく大学院に来たのだからと、時間の許す限りは他学部聴講するようにしております。SPHの授業が終わる2年目は、公共政策大学院といって、政策評価、政策立案を学ぶ大学院の授業をめいいっぱい聴講しようと思っており、何だかんだで2年目も授業は普通に取ることになりそうです。




以上が、大学院での勉強に掛かる時間となっております。
私は現在、仕事としては夜勤バイト1回/週、某バイト1回/週をしており、そして夏以降はインターンが予定に入ってくることになります。
現在の勉強のパフォーマンスは落とさぬように、新しい生活スタイルに軟着陸していきたいと思っているのですが、あまり自信はありません。。。

ちなみに私は勉強があまり好きではなく、大学院に通い詰めではストレスで爆発してしまうので、少なくとも月に一回は”やりたいことしかやらない日”を作っています。
課題も、仕事もすべて無視して、この日は朝から散歩し、ブックオフで漫画を読み、映画館に行き、そしてベッドでゴロゴロします。この時間のおかげで、日々にメリハリをつけられているなと感じる次第であります。




さて、私の事例でした。
「そんなに勉強に時間がかかるの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはおそらく私がどんくさいからだと思います。昔から、物事を理解するのに人一倍時間がかかる人間で、教科書の(私にとっては)難しい箇所などは何日も考えて、それでようやく納得できるということもあります。もっと賢い人なら、ささっと読み飛ばしてしまい、時間を優雅に使ってらっしゃるんだろうなと思っています。

SPHにはパワフルな先輩方も沢山おり、開業医として週6回診療に出ている方、救命医として週2回当直に出ている方もいらっしゃるし、学校に通いつつ子供の送り迎えをしているパパ、ママさんも沢山いらっしゃいます。山梨県から通学してらっしゃる方も。。。
もちろん皆さん課題もばっちりこなします。
やろうと思えば人間なんでもできるものですね。。。
子供もいない独り身でありながら、自分の勉強だけでひぃひぃ言っている私が情けなくなってきます。



















「大学院に行きたいけど、幾ら貯金しておけばいいの?」


お金の話、気になる所ですよね。
特に、看護師さんでご家庭がある方となると。


今回は、参考までに学業に関わる私の家計簿をざっくりとご紹介いたします。

【収入】

入学時点に置きましては、
貯金 50万円
奨学金 88,000円/月


が私の収入です。


SPHの授業も落ち着いてきましたので、ぼちぼち看護師の夜勤バイトを始められるようになってきました。
私は2年分の授業を1年で終えるように履修しておりますので、ちょっとカリキュラムは窮屈なのですが、それでも週休3日は取ることもできます。なので、週1回は夜勤バイトを入れていくつもりです。
となると、
看護師バイト 35,000円×4/月

の収入。
しかし、SPHはけっこう課題量、読書量が多いので、週によってはバイトが厳しい日もありそうです。
ベネッセなどの夜勤バイトであれば、定期でなく単発でシフトに入るということもできますので、重宝しています。なお、人手不足の場合にはベネッセからメールが来まして、前日にシフトの予定を組むということもできます(しかもその場合、臨時給与が入ります)。


また、現在受講している副専攻であるGCLですが、来年度の専攻も通過できれば、
給付型奨学金 12万円/月

という太っ腹な給与を頂けることになります。
ただし気を付けねばならないのが、こちらを受け取る場合は奨学金との併用不可、バイト不可、つまりこのお金だけでやり繰りせねばならないということに。

さらに、GCLでは海外留学においても給付型奨学金を提供しており、幾らかの援助を頂けます。
ただ、去年まではかなり大口の給付だったそうなのですが、今年から寂しい額になってしまうとの噂も。


以上が収入の概要になります。
当然ながらお金は少しでも多い方が良いので、現在もせかせか給付型奨学金への応募申請書を書いているところでございます。




【支出】

思わぬ痛手を被りまして、
入学金 28万円

が引かれることとなりました(免除申請をしていたのですが、半額免除にもならず)。
私は、計算上は収入が最低額の0円になるように調整して免除申請しておりましたので、これには驚きました。当局に確認しますと、0円が最低値ではなく、マイナス計算もしており、収入額が低い人から順に免除該当としているとのことでした。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、免除申請においては家計状況を計算して、その人の収入額を概算することとなるのですが、兄弟がいたり、障害があったりすると控除になるんですよね。そのため、実収入からそれらの控除額を引いていけば、マイナス計算も理論上は可能となっております。


次に痛いのが、
学費 54万円/年

ただこちらは、入学金と比べて免除がおりやすく、当局に確認しましたところ、収入が0円であれば、例年は最低でも半額免除は下りているとのことでした。
私が院進希望者に東大を勧めるのもこれが大きな理由の一つで、国立大学で最も予算が潤沢である東大においては(それでも米国トップスクールなんかと比べれば寂しい額なのでしょうが)、学費免除が下りる可能性が他大に比べて高くなっていると思っています。


さて、生活費となりますが、
家賃+光熱費+ネット代 27,000円/月

大変安いです。
私は東大の学生宿舎に入っているので、この値段になっております。
本来はもう少し高いのですが、生活困窮者に対しては大学から補助が下りまして、少し家賃が安くなるのです。最もぼろい学生宿舎であれば、確か1万円で住めたはず。
学生宿舎も収入額が低い者から順に採用されていきますので、独身、無職となる方はねらい目です。


なお、これらの免除申請ですが、基本的には前年度の収入を対象としていますが、入学年から無職、転職された方に関しては、今年度の収入が対象となります。つまり、無職者であれば0円ですね。
この各種免除申請、本当に書類が複雑で、収入額の計算も非常に入り組んでおります。
考えるだけで疲れます。。。


あとは、勉強に掛かる雑費です。

例えば、書籍を購入したり、統計ソフトを購入したり。
ここもまた私が東大をお勧めする理由なのですが、総合大学なので各種専攻に図書館が備わっており、大抵の書籍は学内で借りることができます。
統計ソフト、オフィスも通常は非常に高価なものですが、授業や研究の一環として使用する場合には、無料でダウンロードさせて頂くこともできます。

海外研修に関しましても、東大には豊富な海外留学制度が備わっておりまして、採用者にはほぼ確実に学内奨学金が下ります。




以上、大学院における収入と支出において見てきました。
今回は私の事例の紹介ですので、あくまで東大SPHに限ったお話になります。
私立大学院の場合は、学費はより高く(150万~200万するとこもありますよね。。。)、さらに学校からの金銭的支援も手薄になると思われます。

そういったコスパを考えますと、大学院入学を目指す看護師さんには、ぜひ力のある国立大学の受験をお勧めしたいというのが私の考えでございます。

お読みいただきありがとうございました。

今期の授業の内容と課題量について書いていきます。



【SPHの講義】

①医学データの統計解析(2コマ/週、つまり210分)

SPHの核となる授業の一つで、基本的な統計手法を学びます。
基礎的と言っても、基礎の基礎の部分の知識は既にもっていることを前提として授業が進められていくので(入試の統計の知識がここで活きてくるわけですね)、数式に馴染みがないとちょっとハードです。
毎週、100~130ページくらいのスライドがぺらぺらと捲られていきますが、Σ、expなどの数式ががんがん羅列されていくので、文系の私にはちょっと辛い。
しかし、教授は統計のエッセンスを充分に含みつつも、それでいて学生が理解できるように時には直観的な例えも駆使してくださいます(それでも分からないところは分からないのですが。。。)。
あとは、教授自身が関わって来た臨床疫学データ解析、「こんな解析依頼は困る」などの話も面白く入れ込んでくださってるので、そこでほっと一息つけることも。

毎年、授業が進むにつれて脱落者が出てくるようなのですが、SPHの基礎である統計を履修しておかないと、全ての授業や修論執筆がおぼつかなくなるので、私を含めて統計が苦手な方も歯を食いしばって耐えてらっしゃいます。

私の場合は毎回の復習+課題に2~3時間かかってしまいます。
課題は、その週に習った統計手法を用いて、基礎的な手計算をさせるというものです。内容自体は各手法の基礎的なものですが、手計算がめんどくさい(だからこそ身になるのでしょうが)。。。

でも、以前は何となく眺めていた論文中の統計手法名、図表、そして統計値について、ちょっとずつ解釈できるようになってきて、嬉しさもあります。

なお、この授業の目的は、「生徒自身が高度な統計手法を活用できるようになること」ではなく、「論文を読んだ際に、正しく統計結果を解釈できるようになること」です。
私が同大学の統計学教室の友人(博士課程)に相談したところ、彼は「統計手法を深いレベルで実践できるようになることに時間使うよりは、それができる統計学者の友人を見つけることに時間を使った方が良い」とのことでした。



②疫学研究と実践(2コマ/週、つまり210分)

①と並ぶSPHの人気講義で、座りきれない学生が教室の後ろにずらっと並びます。
疫学の基礎を手法別に学びますが、何より教授の話が面白おかしい。
「素人に分かるように伝える」ということに強烈なセンスをお持ちの教授で、中高生が聞いても十分に楽しめるような授業になっていると思います。
きっとこの講義を聴いた学生は疫学が好きになるし、「私も疫学得意かも」と思わされるような魔法がちりばめられています。

対象者、測定と集団、そして各種疫学手法について、教授自身が関わってきた、または過去のベンチマークとなるような論文を取り上げて、疫学者としての姿勢を伝えます。
その姿からは、先生というよりは師匠と呼びたくなるほど。
「一生忘れないぞ」という気持ちで、一言一言を胸に刻んでいきたいです。

課題は、その週に習った疫学手法を用いている論文で、みんなに伝えたい(良いもの、悪いものでも)論文の要点、自分のコメントをA4レポート2枚でまとめてくること。
ポイントは、自分の言葉で説明すること、そして図表を用いないこと(図表を用いず、あえて言語化することがトレーニングになると)。
さらに、提出した翌週には特に面白かったレポートを書いた2~3人が教授により選ばれ、その講義中に一人5~10分でプレゼンをするようになっています。
ありがたいことに、これまでの発表会では私も毎週プレゼンテーターとして選んで頂き、水俣病、ナイチンゲールによる論文などについて発表させて頂きました。



③健康危機管理学(1コマ/週、つまり105分)

3回のみの講義となりますが、非常に面白いです。
感染症アウトブレイク対策、食中毒対策のプロが講師となり、授業+ワークショップ形式で進められます。
ある教会の夕食会で胃腸炎アウトブレイクが発生した際に、原因の特定、質問紙作成、拡大防止策、今後の改善策などを順次作成していきますが、ファシリテーターの先生が実際にWHOでアウトブレイク対応をされていた方で、臨場感のあるワークショップとなっていました。



④保健医療経済学(2コマ/週、つまり210分)

こちらもSPH名物抗議の一つです。
中盤までの講義では医療経済学の基礎的な知識の獲得を目指し、そしてその後は、そこで獲得した知識をもとに、医療政策に関するディスカッションを行っていきます。
経済学ですので、統計学同様にここでもがっつり数式が出てきますが、教授の説明が分かりやすい。
これ以上ないんじゃないかっていうくらいに医療経済学をかみ砕いてくださっている気がします。

これまでのディスカッションのテーマでは、「地域の医師偏在をどう解決するか」、「救急車を有料にすべきか否か」、「夜間救急受診に自己負担を設けるべきか否か」などで、どれも前半の講義で習った医療経済学の知識を駆使することで取り組めるテーマとなっています。

この授業を受けたおかげで、これまでぼんやり眺めていた新聞の医療関連の記事も、「授業で習ったことから考えると、この政策はナンセンスなのでは?」、「あー、これは~という現象だな」などと切り口をもって読めるようになってきて、楽しいです。

毎週の課題はありません。



医療倫理(2コマ/週、つまり210分)

こちらは毎週の授業が、講義+ディスカッションになっており、前半が医療倫理の授業、後半がそれに基づくディスカッションという構造です。
ディスカッションテーマとしては、「全身熱傷で手術を拒否していたにも関わらず、激しい苦痛を伴う手術を医師の判断で強行されてしまった患者と、その自己決定権」、「輸血を拒否して死を選ぼうとするエホバの証人の少女」などです。
そして最終授業に控えている目玉が、模擬倫理委員会。
学生自身が模擬倫理委員会の構成員となり、倫理委員会に持ち込まれたとある研究の審議を行います。
実際に自分たちが”裁く”側になってみると、「ああ、倫理委員会ではこういう点が突っ込まれるのか」なんてことが感じられ、今後研究申請をするうえで大いに助けになると思っています。

課題としては最終レポートが一本でるのみで、毎週の課題はありません。



⑥保健医療人材育成学(2コマ/週、つまり210分)

学生自身が”授業を作る側”になることを想定した講義であり、授業カリキュラムの作成方法を体系的に学びます。
課題として、10分のプチ授業を作ること、2日間のワークショップを作ること、そして最終レポートA4二枚が課されます。



【SPH以外の講義】
東大は総合大学ですので、SPHの授業と被っていなければ、他専攻の授業を自由に取ることができます。
文学部、工学部、社会学部、理学部、何でもオッケーです。


⑥Global Health Policy(1コマ/週、つまり105分)

こちらは国際保健学専攻の教室による講義で、ディスカッション含め全て英語で進められます。
受講者のうち2/3が留学生となっております。
国際保健に関して基本的なテーマを扱いますが、例えば人口学、各国の保険システム、国連やWHOの仕組み、そしてGlobal Burden of Diseaseなどです。
授業を進めながら、「これってあなたの国ではどうなってるの?」と各国の留学生に話題が振られていくので、そのごった煮感が楽しい。

毎週課題が出ますが、英語執筆ということを除けば課題自体は基本的なものなので、むしろライティングのトレーニングだと思ってやっています。
加えて、毎週リーディングマテリアルがあり、翌週の講義の準備として200~300ページくらいの英語論文が手渡されます。ただ、全てを読む必要はなく、次週のターゲットになりそうな部分を拾い読みしておけばオッケーです。



⑦法と技術(1コマ/週、つまり105分)

GCLというリーディング大学院の必修科目でしたので(東大ではメインの専攻に加えて、選考に通った生徒は副専攻を取ることができます)、何の期待もせずに履修したのですが、これが大当たり。
工学部のイノベーター志望の学生を対象にした授業で、自身が新技術を開発した際に、それを既存の法律に邪魔されずどうやって社会に流通させるかということを学びます。

その中で獲得する技術が、リーガルリサーチというもの。
既存の憲法、法律、条約、政令、法令、条例、ガイドラインなどを洗っていき、自身が取り組もうとする分野においてどのような規制があり、そしてどのような工夫をすればその制度を掻い潜れるか、もしくはぶっ潰せるかを学ぶことが目的です。

講義のほとんどのディスカッションが占めますが、大学全体から様々なバックグラウンドを持った生徒たちが来ているので、「そんなこと考えるのかよ?!」という視点もあり、白熱します。

これまでに、「セグウェイはなぜ公道を走れないのか、ではどうすれば走れるようになるか」、「新技術を使った航空機を売る側、買う側になって契約を結ぶ」などと言ったことを話し合ってきましたが、その中でリーガルリサーチの技術が驚くように身についていきます。
ですので、他の授業で法制度に関する話題が出てきても、それに対してリーガルリサーチを行なうことで、その話題に関する法的な全容を自分なりに掴めるようになってきました。



⑧Academic Writing(1コマ/週、つまり105分)

アベンジャーズに出てきそうな元気なおじいちゃん(確かイギリス人)が、英語でノリノリに講義してくれます。
アカデミックな文章を書く際のお作法を学ぶための授業で、「この単語は高級感があるから抑えておくべき」、「この書き出しは酷い、速攻でリジェクトされるぞ」、「同じ単語は繰り返すな、言い換えるならこの単語を使え」とばっちり叩き込んでくれます。
生徒一人一人を丁寧に見るために、履修者に制限が設けられており、希望者は最初の講義の後に「なぜ私にこの講義が必要なのか」という志望書をおじいちゃんに渡します。

課題は2~3週に1度出ますが、数十分あれば終わります。

「大学院ってどんな生活をするの?」

ということに疑問を感じ、なかなか院進へ踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
仕事や家庭との折り合い、そして入学先によっては居住地の変更も考えねばならず、社会人の方にとっては院進は大きな決断が必要になりますよね。

参考までに、今期の私のカリキュラムと、生活スタイルを書かせてください。





スケッチ





東大SPHの授業は1コマが105分で、多くの授業が2コマ続けて行われます。
つまり、授業を一つ履修すると、それで105分×2+10分(休憩時間)=220分が必要になります。
結構重いですよね。

1限は8:30から始まり、6限は20:30まで。
日によっては朝から晩までがっつり大学にいることになります。

参考までに、私のとある一日の生活をご紹介すると、

8:30~12:10  1,2限授業
12:10~13:00   昼休み
13:00~14:45   3限
14:45~20:00  図書館(課題+自習)
20:00~22:00  帰宅しつつ晩御飯、お風呂
21:30~25:00  読書、英語、娯楽

という具合です。

土日は演劇の稽古や夜勤バイトに費やすことが多く、課題が終わっていない時には移動中に課題文献を読んだり、レポートを書いたりしていることが多いです。


ちなみに東大SPHにおいては課題として殆どの授業が毎週レポート、もしくは発表を課します。
今期ですと私は各週5つ分のレポートを書いていることになります。
重さは各授業によりますが、だいたいレポート1枚あたりを仕上げるのに1~2時間というところでしょうか。私は博士課程進学を検討しており、一つ一つのレポートが将来に繋がると思っているので、自分なりに一生懸命やるようにしているのですが、全力でやろうとするとアルバイトやインターンに使う時間がなくなってしまいます。ですので、これまでに自分が培ってきた知識、経験を土台にする形でレポートを書くことで、調査にかかる時間を短縮するようにしています。


「勉強にそんなに時間がかかるなら、大学院なんていけないよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはひとえにやり様になるかと(というか、やり様でどうにかならなければ社会人に院進はそもそも難しいですよね。。。)。

まず、私は東大SPHの2年分の授業を1年で履修し終えるようにしておりますので、理論的にはこのカリキュラムの密度を1/2にするということは可能です(つまり、2年分を2年かけて履修し終えるということ)。しかし、東大SPHでは1年で履修し終えるというのがメジャーな選択肢であり、殆どの生徒も私と同じようなカリキュラムになっています。
その理由は、2年目をフリーにすることで、修論執筆や海外インターンに集中できる環境を作り出すことです。

また、私は東大SPH以外の授業も複数コマ履修しており(東大は総合大学なので、他専攻のものであっても大学全体の授業を自由に履修できます)、加えて”リーディング大学院”という副専攻にも所属しているので、その分は一般的なSPHのカリキュラムに加えて負担は重くなっています。
これらを履修せずとももちろんSPHの履修要件は満たせますので、そこで調整をかけることはできるでしょう。
東大SPHにも、開業医をやりながら授業に出ている医師、常勤は辞めたけれど非常勤+子供の送り迎えをしている医師などもおります(医師バイトが高額なため、常勤でなくとも家庭に支障が出ずらいということはあるのでしょうが)。中には週2回の当直をやりながら、明けで授業を履修し、ばっちり課題もこなしているという救急医がおり、さすがに凄いなと驚きました(本人に聞くと、デフォルトで4時間30分睡眠だけど、馴れてるので問題ないとのこと。。。)。


さて、これまでは東大SPHのカリキュラムに応じた生活スタイルをお伝えしてきましたが、当然これは大学院によって大きく変わってきます。
研究職要請ではなく、高度実践看護師の要請を目的とした大学院であれば、修論は不要なところもあるし、カリキュラムも社会人が参加しやすいように組まれているところもあるでしょう。
私は将来的には研究職に就きたいと思っているので、(国内では)がっつり研究に関することを学べる東大SPHを選択しました。
そこは、ご自身の環境、関心に応じて適した大学院を選択されるのが良いと思います。
今ではオンラインMPHなんていう選択肢もありますしね。


次回は、今期の授業について、どんなことを学んでいるのか書いていきたいと思います。

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