提出書類について、参考にしたいと思った情報をあちこちから抜粋している。
皆さん、日本から米国トップスクールのPh.Dへ留学された方々の意見である。
ただ、それぞれに専門も違えば、選考の担当者も異なっており、どこまでを自分の受験において参考にすべきかは不明である。
なので私としては、あくまでも成功体験の一例として参考にさせて頂いている。
とはいえどなたも非常に詳細で、思慮深いアドバイスをされているので、読んでいると刺激を頂ける。
各ブログからの抜粋になるので、興味のある方はぜひそれぞれのリンクに飛び、本文に目を通すのが良いと思う。



①Letters of Recommendation

・推薦者はタイトルが高ければ高いほど良い。学科長、研究所長など。
・最低一人の推薦者は1年以上付き合いのある人が良い。
・何度か推薦状を書いたことがある推薦者は初めての人よりも審査員に好まれる。
・必要以上の数の推薦状を出すことはNG。
(以上、米国大学院学生会 海外大学院留学ガイドを参考に)

・推薦状を読む人が一番知りたいのは「研究の戦力になるかどうか」です。それにはこういう指示を出したらこのような作業をしてこんな結果を出してきた、とか、こういう問題に直面したときはこのように解決した、とか、という事例が役に立ちます。どんなスキルを持っているのか、どんな作業がこなせるのか、なども分かるように、とにかく具体的で定量的な記述があると良い判断材料になります。
・もし学会発表や論文が準備中であれば、推薦書の中で必ず書いてもらえるようにトピックリストに含めておくべきです。もう一つ効果的なのは、実際に留学した他の学生との定量的な比較です。研究室の先輩との比較が望ましく、卒論中間発表での評価順位など、定量化できればベストです。
・研究能力を評価してもらえる推薦者がほかにいない場合、アメリカの研究者またはアメリカ在住経験の長い研究者に面識があれば、英語のコミュニケーション能力について書いてもらうというのも良いアイデアです。
米国大学院学生会 ニュースレター23号

・で、そうして推薦者候補が見つかったら、今度はその人に推薦状を書いてもらえるほど自分を知ってもらわなければならない。もしその先生が自分の大学にいるなら、授業やゼミを取って積極的に発言してアピールし、授業外でも質問などをし、できるだけ良い成績を収める。学外の人なら、その大学の授業を聴講させてもらって同様の努力をする、あるいは研究会やセミナーといった機会を逃さず、チャンスを見つけて話してみる。リサーチ・アシスタントを募集していないか聞いてみる。もしアメリカから関心のある先生が研究発表などで日本に来るということがある場合、そういったセミナーにも積極的に出て、懇親会などにも残り、積極的に話しかけてみたい。在外研究で日本に来ている場合、日本での研究のアシスタントを求めている場合が多いので、リサーチ・アシスタントとして近しくなれる可能性は意外とある。私自身もこうした経緯で推薦者の1人に出会った(もっともこのケースでは、推薦状確保
を目的にRAをしたというわけではないのだが)。
紅茶の味噌煮込み

私は南部のF州にあるプログラムにトップ合格し、とても良い条件の奨学金のオファーをもらいました。地域や院生の雰囲気などいろいろと不安要素が多く、結局は辞退したのですが、キャンパス訪問をした時に、「○○教授からの推薦状がとても強かったのがあなたを推す決め手になった」と選考委員長から言われました。実はその教授二人は友達で、たまたま私の理論的志向とも共通点が多かったのも貢献したのかなと思っています。
あと、A大学の場合、昨年不合格になったあと、私を当時電話面接した教授にメールをして、どこがダメだったのか教えて欲しいといったところ、丁寧なメールが帰ってきました。そして再度応募する際に、新しいstatementを見てくれないか連絡したところ、なんとOKの返事。「私は今年はサバティカルだし、アプリケーションにはなんの影響力も持っていないから、そのへんのところよろしく」みたいなことがメールに書いてあったのですが、結局その教授と後日電話面接。聞くと私の書類がその教授に回されていたらしい。結果は合格。
ミシガン大学アジア文化言語学博士課程に留学されている平野邦輔さんのブログ



②Statement of Purpose

・過去のことだけでなくpurposeをきちんと説明する場所。どうしてそこを選んだのか、自分はそこで何をやりたいのか、その後習ったことをどうやって仕事に結びつけるのか?また、やりたいことに面白いアイディアを含められれば大きなプラス。
・他の学生と差をつけるにはここで面白いアイディアや自分が持つ稀少価値をもとに何がやりたいかを具体的に説明するべき
(以上、米国大学院学生会 海外大学院留学ガイドを参考に)

・アメリカの大学専攻は入試よりも就職活動に近い。審査する先生は「この生徒はうちの大学/研究に役立つか」を考える。
米国大学院学生会 ニュースレター7号

実務経験を経ないでPhDに応募してくる学生に対し、PhDプログラムが抱く最大の不安が日本でも悪名高いモラトリアムというやつです。実際、自分のラトガースのPhD同僚でも最も若い2人が脱落していきました(-。-;) PhDの授業を受けている間は、大学からゴールを設定されているため努力しやすいのですが、いざ自分の研究テーマを決める段階になると「やりたいこと」が分からずに、PhD取得に向けて足踏みすることが多いです。「組織の歯車になるのは嫌だ!」という一心でPhD受験をしただけで、実はあまり研究に情熱がなかったというケースを大学側は恐れているため、PhDでは実務経験がある組織の歯車となった経験のある応募者が有利になることが多いです。
35歳からのアメリカ行政学・公共経営Ph.D挑戦



③GPA

・ずっと良い成績をとっているのが一番だが、最初に成績が悪くて上昇傾向が見えると良い。また、審査員は受験している分野の成績を特に良くみる傾向がある。
(以上、米国大学院学生会 海外大学院留学ガイドを参考に)



④GRE

・Qualitativeにおいて最低でも700/800点は欲しい、Verbalも500/800点以上。またanalytical writing sectionも3.5/6.0以下はまずい。(以上、米国大学院学生会 海外大学院留学ガイドを参考に)
・GREは過去の受験分も大学に送られるので、充分に準備してから受験するのが望ましい。
米国大学院学生会 ニュースレター7号



*番外編~研究室選び~

・力を発揮するためには研究室の環境も大事です。指導教員の能力に加えて研究資金や設備、同僚の学生やポスドクなど、研究を効率的に進めるためにはさなざまな資源が必要です。
・アメリカでは、そのように環境が整っている有力研究室が上位30校くらいに広く分布しているので、ランキングに惑わされずに丁寧に調査することが大切です。
・トップ30校くらいまで対象校を広げたいところです。志望する研究分野が決まっていれば、その分野の教員に権威のある国際会議を教えてもらい、最近の招待講演者リストを調べると効果的です。
・このようにしてある程度の研究室をリストアップできたら、良い成果を多く出しているかどうか確認してみましょう。…比較的便利なh-indexという指標を紹介します。
・最後に、...、他の出願者に差をつける方法を紹介します。それは実際に研究室を訪問して、教授や学生と直に話してくることです。自分のCVを渡して教授に自己アピールしてくるのはかなりインパクトがあり、印象に残ります。
米国大学院学生会 ニュースレター24号

職名を書いているのは、Assistant Professorの場合は任期付きなので数年で移動してしまう可能性が高いため、指導教員候補として選ぶには注意が必要だから、Ph.D取得年を書いているのは、あまりシニア過ぎると最近の学界事情に通じていなかったり、すぐにリタイアする可能性もあるので、これまた指導教員としては微妙だからである。...興味がある研究をしている教員が重要なのは、志望理由書(SOP)の最後のパラグラフなどに、「私は~~先生の研究に興味があって、一緒に研究したいです」などと書くのが通例であり、場合によってはそこで名前が出た先生に自分の書類が回ったりするためである。その先生がこの学生を受け入れたいと思えば、合格する可能性も高まる(といっても、アメリカの場合はイギリスほど個々の教員の決定力は強くないと思うが)。イギリスの場合、そもそもここでリストアップした先生の誰かに事前に直接連絡を取って、ある程度話を通しておく必要があるので、リストアップは死活的に重要である。

この表は一度作ったら終わりではなく、出願が近づいたらもう一度再チェックした方がいい。場合によっては当てにしていた教員が異動していなくなっていたりすることがあるためだ。私の場合は、ある大学で一番興味があった先生が出願する年の秋にいなくなっていたのに気づかずにその人の名前をSOPに書いたり、また別の大学で一番興味があった先生が翌年にいなくなったりした。人事は大体事前に決まっているので、その先生はどのみちその年学生を受け入れるつもりはなかっただろう。後者の場合は防ぎようがないが、前者の場合は定期的にチェックしていれば防げたはずである。...。出願先を選ぶ際の基準として、私が重要だと思うのは、①「強い」関心を抱ける研究をしている教員が「多く」いること、②財政的に豊かであること、③評価の高いプログラムであること、④今後数年住みたいと思える場所にあること、である。順序は、①が一番大事、その他はその人の人生観と個別的状況による。
・出願先とするためには、教員リストの中に自分と相当程度重なる研究関心を持っている先生が、Associate Professor以上の職階を有するシニアすぎない教員1人を含めて合計3人以上いることが望ましい。この1人がコアになるわけだが、1人しかいないとその人がいなくなったら終わりだし、いても性格が合わなければ逃げ場がない。何より大事だと思う理由は、数人関心が合う人がいるようなプログラムでないと、そもそも受からない可能性が高い(つまり出すだけ無駄になる)ということだ。
・よほど自分の競争力に自信がない限り、10校全部ランキングトップ10の大学で占める、というのはやめた方がいい。全部落ちるというのは特に留学生のPh.D出願ではよくあることだ。トップ10の大学3-5校、トップ20-30の大学2-4校、それ以下のすべり止め1-2校といったところが妥当ではないだろうか。紅茶の味噌煮込み

Ph.D.の合否を決めるにあたって、スポンサーになってくれる教授が2人ほどいなければならない。「アドミッションコミッティー」という教授数人から成るものがあり、教授たちは毎年ローテーションでリクルートを担当している。このコミッティーの教授たちが中心となってアプリケーションを読みながら合格者を決定するのだが、最終的には学生と相性のよさそうな教授がいるかどうか、またその教授がどう思うかにかかっている。学部に自分のやりたいことを指導してくれるような教授がいなければまず話にならない。いたとしてもさらに問題なのは、教授たち全員が毎年思うように好きな生徒をピックできるわけではない。自分の興味とぴったりな研究をしているA教授がいたとしても、前年一人担当生徒が入学していたとしたら「Aさん去年一人付いたでしょう~今年はB教授にとらせましょう」みたいな事になるのである。この辺りの駆け引きは全て内部事情であり、外部からは全くみえないのだ。

そこで大切なのは、受験前に興味のある教授にメールをしてみる事だ。学部のウェブサイトをしっかり読み込み、興味のある分野を研究している教授を把握し、出来れば著書や論文をいくつか読み、個人的にメールをしてみ て「こういう者です。先生の研究内容に興味があります。来年受験しようと思っているのですが、院生を受け入れていますか?」と質問する必要がある。私も受験前の6月ごろ10人以上メールを打ったのだが、「君のリサーチは面白そうだけど、僕はまだテニュアじゃないから担当にはなれないんだ」や「今年は生徒とってないんです」といった返事がいくつか返ってきた。こういった学部は受験するだけ無駄であり、受験料の大幅な節約になるのでこのメールは必ずするべきだ。
米国大学院で文化人類学を勉強されているあんころそさんのブログ

一番のポイントは、出願 校を絞って徹底的にアピールするということです。感染症疫学で有名な大学院はアメリカに 数多くありますが、私は今回 5 校に絞って出願することに決めました。そして各大学の教授、ポ スドク、学生、卒業生に 5〜6 月頃からコンタクトをし始め、Ph.D.進学に興味があることや、こ れまでの経験と今後やっていきたいことを伝えました。うち 4 校には夏から秋にかけて訪問し、 研究プロジェクトや Ph.D.プログラムの構成などについて詳しく知る機会を作りました。学会で は志望校から来ている人がいないか探し、会う時間を作ってもらいました。同僚やこれまでの指 導教官・共同研究者の中に、志望校の教授らとの共通の知り合いがいないか探し、彼らを通じて 紹介してもらったり非公式の推薦メールを送ってもらったりしました。こうして約半年かけて少 しずつ輪を広げたおかげで、面接の時点では既にほとんどの先生や学生と面識があり何度も話し たことがあったので、とてもリラックスして臨むことができました。 CV を見れば一目でわかるような輝かしい業績を持っている人は、このように時間と費用をか けてネットワーキングする必要はないのかもしれません。しかし私のように他の出願者とあまり 差がつかないことが予想される人は、積極的に動いて自分のことをよく知ってもらうことは有効 です。アメリカの大学院には世界中の優秀な人材が多数出願してくるので、選考過程を経ていく Page 3 中で優劣をつけがたい人のグループは必ずできてしまいます。前述のように日本は点数でシンプ ルかつフェアに決めますが、アメリカはそうではないです。「こっちの子を取ろう」と思わせる にはどうするか。出願書類だけでいくらアピールしようとしても、エッセイには語数制限があり、 推薦状も 3 通までしか出せません。そこで私は徹底的にアピールして自分を知ってもらうという 戦略を取りましたが、他にも方法はいくつもあると思います。世界中の優秀な人材と戦って勝利 を得るために、自分に合った手段を見つけて実践してください。
Yale大学に公衆衛生Ph.Dで留学された塩田佳代子さんの奨学金財団での留学報告書


*番外編その2~奨学金選び~

紅茶の味噌煮込み
(オックスフォード大学政治国際関係学部に留学されたNaoさんのブログ)