夜間飛行

2017年12月

2018年の目標を立てます。


①英語ビジネスレベル
 TOEFL114点
 GRE:Verbal160点、Quantitative165点、Writing4.5点



②フランス語日常会話レベル
 国境なき医師団に参加するために



③留学を希望する大学および専攻の決定
 2019年のapplyに向けて動けるように



④貯金200万円
 博士留学の生活費に備えて



⑤雑誌にて連載企画を持つ
 公にアイデアを発表し続けられる媒体を持つことは、知的刺激になる。 
 


⑥アラスカに行く
 僕にとってはアラスカは星野道夫の生きた場所。



⑦父さん、母さん、ばあちゃんにプレゼントを渡す。 
 少しずつ親孝行していきたい。

さて、今日は専門の試験についてです。

以下の9つの専門家から4つを選択して解いていきます。

①疫学
②医学統計
③予防医学
④健康教育
⑤精神保健
⑥医療倫理
⑦医事法
⑧公衆衛生調査方法論
⑨医療情報システム

制限時間は80分。

専門の試験を解くうえでのポイントは、この9つの問題、難易度や問題量に幅があるということです。
常識でわいあい書けるんじゃないか?というものもあれば、20分じゃ無理だろっていうものもあります。
ですので、予め過去問を解いて、それぞれの問題の傾向と、自分との相性を把握しておきましょう。
9つの問題に対して準備をしていく必要はないです。4題、多くとも6題くらいに絞って対策しておけば良いのではないでしょうか。
そういう意味では、「いかに捨てるか」が大切になってくる問題だと思っています。


さて、各問題の傾向についてお伝えします。

①疫学
予防疫学教室の佐々木教授が授業で扱っていたテーマが例年出題されているので、個人的には「佐々木先生が出題者なのかなぁ~?」なんて思っています。
ですので、前回のブログでも紹介した「わかりやすいEBNと栄養疫学」を読んでおくのが良いかと。
問題の傾向としましては、具体的な疫学調査を例題として紹介した後に、その結果を疫学的な観点から解釈させるというようなものが多かった気がします。

例えば、「BMIが上がるにつれて肺炎発症率が上昇する。一方で、BMIが上がると死亡率は下降する。なぜこのように異なる結果が観察されたのか、考えられる具体的なシナリオを2つ提案せよ」みたいな(実際の問題をかなり要約しているので、あまりあてにしないでください汗)。
あとは、ある研究と、そこで生じうるバイアスを考察させたうえで、そのバイアスを回避するにはどのような研究デザインを組めばよいか、とかでしょうか。

こうして書くと、疫学初見の方は「うっ」と思われるかもしれませんが、実はそんなに難しくありません。というのも、①疫学で出題される問題は基本的な疫学知識があれば、その応用で十分に解答できる内容になっています。
疫学の教科書を開くと必ず書いてある因果の逆転や、交絡、バイアス、偽相関などの疫学用語がありますが、要は「これらの基本的な疫学が理解できていますか?」ということを問うている問題です。
いきなり問題文を読むと混乱してしまうかもしれませんが、そこで問われることは必ず基本的な疫学の知識で説明可能なものになっているはずなので、落ち着いて自分の中の疫学の知識を探ってもらえれば、そこに答えがあると思っています。

ちなみに、佐々木先生の予防疫学教室のHPにて、先生の講義の資料を丁寧に紹介してくださっています。
ここで語られる内容が極めて①疫学に近しい内容になっていると思うので、ぜひ読まれることをお勧めします。


②医学統計
専門の統計は、以前述べた統計学一般の問題に比べて難易度が高いです。
文系出身の私にはやや辛く、捨て問にしていました。
なので、これについてはよく分かりません。


③予防疫学
去年までは問題がほぼ毎年同じであり、狙い目だったのですが、今年からちょっとだけ傾向が変わりました。
例年、スクリーニング検査における感度・特異度に関する問題で、極めて単純な計算で答えが出せるものでした。今年もスクリーニング検査の問題だったのですが、感度・特異度ではなく累積罹患率・累積死亡率を求めさせる問題でした。難易度自体は例年とは変わっていないと思われます。
来年からどうなるかは分かりませんが、ここらへんの数字の操作が得意な人にはお勧めの問題です。


④健康教育
おそらく、保健社会学教室の橋本教授が出題者だと思われます。
というのも、橋本教授が学部時代の授業で行っていたことが想起されるような問題になっているからです。
その授業は二つのパートに分かれています。まずは、ヘルスサイエンスに関する理論の学習。そして、その理論を基にした、具体的な臨床の課題への対策の考案。

ちなみに今年の問題は「ある職場の肥満対策に、Minklerらが述べた”健康教育における専門家の2種類の関わり方”(本文中に詳細は記載されています)を適応し、それぞれどのようなアプローチにするか論ぜよ」というものでした。

対策する上で大切なのは、ヘルスプロモーションにおける幾つかの主要な理論を把握しておくことです。過去問を見ると、理論を知らずとも解ける問題もありましたが、理論を知っていることが前提となっている問題も多々ありました。
ヘルスプロモーションの理論を学び、「では、それを自分の職場で実践するとしたらどうなるか?」というように、理論を実践に落とし込むような思考トレーニングをしておくと良いかと思います。


⑤精神保健
例年、ボーナスステージです。
今年も傾向は変わらず、精神疾患と第一次、第二次、第三次予防に焦点をあてた問題でした。
例年記述式の問題なので、わずかな精神保健の知識と、常識があればそれなりに書けます。
そこまでの思考量も必要とされません。
ただ、今年から問題数が多くなっており、求められる文量が増加しておりました。手が痛かった。。。


⑥医療倫理
こちらも⑤精神保健と同様に記述式の問題です。
傾向は例年まったく同じ。医療倫理におけるワードを5題ほど提示し、その意味を答えさせるというものです。一問一答式の非常にシンプルな問題で、「意味を覚えているかどうか」が問われます。
ただ曲者なのが、過去問を調べた限りでは同じワードが出題されたことがほぼなく、山がはりにくい。。。

ちなみに今年は

・徳倫理
・人間の尊厳
・医学研究における侵襲と介入
・ゲノム編集
・ヒューマンエンハンスメント

の5題でした。
何を勉強するのが良いのでしょうね。
自分の場合は学部の授業でたびたび触れることもあったので、医療倫理で問われる問題の”雰囲気”ぐらいは掴めていました。ただ、初見となるとどうすればよいか。
東大の医療倫理の赤林教授が入門・医療倫理シリーズを刊行してらっしゃるので、それらを読み込めば十分に対策可能だと思われるのですが、それでは費用対効果が大変低いと思うので、お勧めできません。
じゃあどうすれば良いのか。
東大の医療倫理研究センターであるCBELのTwitterアカウントが、けっこう精力的に医療倫理上のニュースをtweetしていますので、それをフォローしておき、時間があるときに読んでみる、とかは良いかもしれません。


⑦医事法
主に、医師を対象として想定しているような問題が多いです。
解剖や死亡診断書、画像診断などなど。
個人の感想ですが、公衆衛生大学院の試験で、ある特定の職種のバックグラウンドが有利になるような試験は不適切だと私は思っています。
医師には簡単な問題かもしれませんが、他職種からしたら「知らねぇよ」というものが多く、なぜこのような出題傾向なのだろうかと例年不思議に思っています。
ということで私にとっては捨て問。


⑧公衆衛生調査方法論
公衆衛生の調査を行う上での方法論に関する問題です。

例えば、「1次データと2次データ利用のメリット・デメリット」、「無作為抽出の意義」、「各研究手法(横断研究やコホート研究など)のメリット・デメリット」、「リードタイムバイアス」、「ビッグデータ」など。

結構幅広いですが、基本的な理解があれば、シンプルに解ける問題が多いです。
ここでも、佐々木教授の「わかりやすいEBNと栄養疫学」がお勧め書籍として上がります。


⑨医療情報システム
この分野に関しては私は完全にお手上げなので、何も言えません。
「例年、これを選択する受験者っていったい何人いるの?」というくらい自分にはチンプンカンプンな内容でした。学部時代の授業でもほぼ触れたことがありません。

問題文中のだけ紹介すると、多施設診療情報バックアップデータベース、PACS、データ移行コスト、リプレース、HON code、TCP/IPなどなど。

参考になるような本も見つけられなかったし、これを学ぶことの意義を全く感じられなかったので捨て問にしてました。



以上、9分野、いかがだったでしょうか?
一からすべてを学んでいくのは大変ですが、大切なのは「9題すべてを解く必要はない」ということです。過去問から傾向を掴んで、自分にとって都合の良い問題を取捨選択していきましょう。

今回は英語の試験についてです。

形式としましては、2時間で4つの長文読解に取り組みます。
1つの長文あたり1ページ強の英文となっており、それぞれ問題が3題~5題というところでしょうか。
問題の傾向については過去問を見て頂くのが手っ取り早いのですが、今年ですと


・下線部が意味することは何か?
・”A”(本分中の単語)の意味に最も近い単語を以下の4つから選べ
・本分中の5つの空欄に最も適したセンテンスをA~Eから選べ
・本文の趣旨に反する記述を2つ選べ
・この文章に最も適したタイトルは何か選べ


などなど。
公衆衛生の専門知識はまったく問われず、大学受験レベルの英語力があれば十分に対応できる内容になっております。
英語に関しては問題の傾向は毎年ほぼ一緒なので、過去問を2~3年分やって、「ああ、こんな感じね」という感覚を掴んだら、あとは過去問には触れず、以下の対策をとるのが良いのではないかと思います。



①日常的に英語に触れておく
基本的な公式を覚えれば対応できる統計や、知識を詰め込めばけっこう解ける公衆衛生一般の科目と違い、英語に関しては基本的なReading力がなければ対応できません。
ですので、文法や単語が不安な人はそこの勉強から始めて、既にそれが十分だと思う人は日常から英文を読む習慣を付けておけば良いと思います。
確かに公衆衛生に関するテーマの長文が出題されるのですが、学術論文などではなく、”読み物”としてリラックスして読める長文なので、日頃触れる英文もそういったものを選ぶとより良いのではないかと思います。
自分の興味にあったものを探すのが良いのでしょうが、公衆衛生に親しんでおくという意味では、やはり公衆衛生に関する英文を読むのが良いかと。
自分はTwitterで国境なき医師団 internationalやWHOのアカウントをフォローしておき、面白そうな記事が流れてくるたびに保存して、空き時間で読んだりしていました。あとお勧めはThe Lancetです。登録すると、オンライン上で最新の記事が読めて、刊行されるたびにメールでお知らせしてくれます。学術論文以外にも、エッセイのようなものやコメントはリラックスして読めるものですので、SPH受験の材料としては割と良いかと思います。



②出題されそうなテーマを先に学んでおく
出題されるテーマはあくまでも公衆衛生に関するものなので、医療者であったり、学部時代に公衆衛生を学んでいた人だとピンとくるものがあるかもしれません。
本分を読まずとも「ああ、こういうことが言いたいんだな」というのが先に掴めるので、非常に読解が楽になるし、時間の節約にもなります。

ちなみに今年のテーマは”紛争と医療”、”画像診断”、”疫学とバイアス”、”健康格差”についてでした。
公衆衛生に初めて触れる人には「???」というテーマもあるかもしれないのですが、”画像診断”以外は割と公衆衛生の基本的なテーマかと思います。”画像診断”に関しては全く無知だったので、「何でこんな問題出すの?」と思いながら読んでいましたが。。。

では、公衆衛生に関して初めて触れるという人はどうしたらいいのか。
こちらの問題はもちろんSPHの先生方が作成しているので、割と先生方の専門分野に偏って出題されているという印象があります。

”疫学とバイアス”は予防疫学教室の佐々木教授が学部の頃から何度も授業で説明してくれたテーマでしたし、”健康格差”は保健社会学教室の近藤准教授が精力的に取り組まれている分野です。
ですので、前もって先生方の書いたものなどをある程度読んでおけば、そこから英文にアプローチするということができるかもしれません。

では何を読めばいいの?
という質問ですが。

おすすめは「社会と健康:健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ」という本で、東大のSPHの教授陣を中心に、公衆衛生オールスターズによって書かれています。
学術書なので、かなり堅い内容になっていますが、読み込まずともSPH教員のテーマがどういうところにあるのかということは掴めるかと思います。

あとは、佐々木敏教授の「わかりやすいEBNと栄養疫学」
栄養疫学と書いてはあるものの、疫学を学ぶ上での基本的な本になっており、私は学部時代の勉強でだいぶ助けてもらえました。「わかりやすい」という名前の通り、疫学に潜むバイアスや、優れた疫学デザインについて既存の研究をユーモアとシンプルな図表で説明してくれています。
本当におすすめの一冊です。
別の機会に書くことになりますが、この本の中で触れられている内容は、【専門】、【公衆衛生一般】で出題される疫学の内容とかなり近似しています(佐々木先生が毎年の作成者なのかなぁなんて思っていますが)。



以上が英語の試験の対策になります。
ちなみに私は今年の英語の試験で失敗してしまいまして、英語が終わった時点で「ああ、終わった。。。僕は来年も病棟で働くんだな」と哀しい気持ちになりました。SPHに先に進学していた友人たちが口をそろえて「英語は簡単、点の稼ぎどころ」と言っていたのに、失敗してしまったことがショックでショックで。。。
一次試験の結果は友人に見に行ってもらったのですが、掲示板の写メに自分の番号を見つけた時には大喜びして、なぜかその勢いで師長に報告のための電話をしました。。。


まとめになりますが、
英語は
①日頃から同じようなレベルの長文に触れておく
②出題されるであろうテーマに親しんでおく
の2点がミソになります。

私は失敗しましたが、点の取りどころです!!!
では失礼いたします。


さて、今回から各論について書いていきます。


まずは統計から。
個人的には鬼門でした。
私は文系出身なのですが、学部生の頃からこの統計が嫌いで嫌いで・・・
統計学の試験も、1年目が不可、2年目も不可、3年目にようやく追試で可、という悲惨なできでした。


SPH(公衆衛生大学院)の受験をする前から「統計どうしよう・・・」と心が暗くなっていたのですが。
医療系、特に看護系の方だと統計が苦手という方は少なくないかと思われます。
でも大丈夫です。
私も最初は苦手意識をもって騙しだまし勉強していたのですが、やるにつれてSPH入試で問われる統計は非常に基本的なものだということが分かってきました。
しっかり公式と概念を理解してしまえば、あとは基本的な数式操作だけで回答を導けます。
本番の試験でも、おそらく1問も間違えずにクリアできたのではないかと思っております。


【試験の概要】
統計(Statistics)は、公衆衛生一般(Health Science and Social Medicine)と合わせて【General Test】という科目の中で出題されます。
【General Test】の試験時間は100分なので、統計50分、公衆衛生一般50分と考えるのが良いのではないでしょうか。
問題数は統計だけで20問。一問あたり2.5分となり、ややタイトに思われるかもしれませんが、前半は一瞥で回答できるようなサービス問題なので、後半にかけられる時間はもっと長くなります。


【勉強方法】
統計が苦手な私は、見栄を捨てて「猿でもわかる統計本」の類を読み込むことから始めました。
まずはこれで、徹底して統計に馴れ、抵抗感をなくすことから始めています。
実際に私が使ったのは、

「統計学がわかる ハンバーガーショップでむりなく学ぶ、やさしく楽しい統計学」
「統計学がわかる アイスクリームで味わう、”関係”の統計学」

の2冊です。
名前の通り、統計の概念を楽しく、優しく伝えようと努めてくれている参考書でした。
この手の参考書は星の数ほどあるので、皆さんもご自分にあったものを探されるといいと思います。
ちなみに、統計を理解するための良書としてしばしば「統計学入門(東京大学出版)」が引き合いに出されますが(実際に良書だと思うし、Amazonの評価も高いです)、これは数学の基礎学力がない私にとっては全く入門書ではありませんでした。大学院でじっくり統計と付き合っていくうえで重要な本だと思うので購入はしましたが、SPHの試験対策には不要です。


上記の2冊で少しずつ統計に馴れはじめてくると、統計の概念を理解するには微分・積分と確率論を理解していないとだめだということが分かりました。
文系出身の私は微分・積分など習ったかどうかも定かではないレベルでしたので、これが大変だった・・・
YouTubeで「微分・積分 統計」などと入れると、それに関連した動画が山のように出てくるので、そのうちでひたすら分かりやすく解説してくれている動画に目を通しました。
あとは知恵袋や人のブログをサーフィンしつつ、私の感性にあった説明をしてくれているものを摘まみ食いしました。
こういう時に大切なのは、ある一人の説明に固執しないことだと思います。
説明の仕方は人それぞれ、自分にとって「あ、なんとなく分かるかも」という説明をしてくれている人を探しまくりましょう。


この過程を経ることで、統計の基礎的な概念と、基礎的な公式が少しずつ分かってきました。
あとはひたすら問題を解く。
問題を解くうちに、自分はどこまで統計が分かっていて、どこから分かっていないのかということが掴めて来るので、覚束ないところがあれば入門書や人のブログに戻り、そこを理解するように努めます。

ちなみに、他の人のブログや東大のホームページでは、SPHの統計学の試験は統計検定2級レベルのものであると書かれていますが、実際はそんなに難しくないです。
統計検定2級の問題集も買いましたが、出題される問題の形式が全く違うので、ぜんぜん開きませんでしたね。
代わりに使ったのが「統計学演習(培風館)」です。
この問題集、まさにSPHの統計の試験の問題と傾向がドンピシャです。この一冊をひたすら解いていれば、SPHの統計は問題ないと思われます。試験に臨んでも、問題を見た瞬間に「ああ、あの解き方でいけるな」とパッと思い浮かべられるようになるはずです。


文系出身者には辛いと思われる統計、地道に頑張るしかないですね。
試験対策の時間がない方も、統計だけは前もってコツコツやっておいた方が良いかもしれません。

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