2017年11月
東京大学公衆衛生大学院の受験について② 【試験の概観】
今回はSPH受験の全体像をお伝えします。
SPH受験に関するブログはいくつかありますが、自分は内部生としての目線から書いていこうかと。
受験問題を作成している教授たちの授業も日々受けていたので、過去問を解いていても「あ、これ~教授の問題だな」というのもやんわりと分かりました。なので内部生の目線から、出題者が求めているであろう回答や、出題者である教授が授業の中で繰り返し言っていた重要点、参考書、論文などについてもゆくゆくはご紹介できればと思います。
さて、試験の内容について。
1次試験の筆記試験と、2次試験の面接に分かれていますが、2次で落ちることはほぼないかと思うので、1次についてのみ書いていきます。
前回のブログで、東大のSPHはしっかりと準備しておけば難しくないということを書いたのですが、それについて追記。
SPH受験の良いところは、純粋な筆記のみの試験であり、海外の大学院のようにGPA、履歴書や志望理由、これまでの研究業績は一切不問になるということです。TOEFLやIELSのような英語力の証明書も必要なし。
3万円の受験料さえ払ってしまえば、あとは筆記試験を受けるのみという大変シンプルな選考方法です。
受かるかどうかは筆記試験で点数を取れるかどうかという一点にのみかかっています。
ちなみに筆記試験の難易度についてですが。
自分は健康総合科学科から進学しているため、いわゆる”内部生”という括りになります。
ですので、受験前に既にSPHに所属している同級生や先輩に試験の難易度について聞いたところ、理系出身の生徒は「過去問を少し見ておけば、まず落ちない」という意見が多く、文系出身の生徒は「結構しっかり勉強した」という意見が多かった気がします。
理系の友人は、数週間、もしくはまったく準備なしで合格していた気がします。
文系の友人は2~3か月の準備期間というところでしょうか。私も、働きながらでなかなか時間を取ることができなかったので、3か月前からしっかり準備を始めました。仕事を終えて帰ってきたら毎日2,3時間くらいの勉強でしょうか。休日は丸々でした。
おそらく、文理で意見が分かれる大きな理由が疫学・統計学でしょう。
私も文系出身者で、学部時代はどにかく統計学が苦手でした・・・
統計学の試験も2年連続で不可になり、3年目にようやく追試で合格させてもらえたほどです・・・
さて、各科目の外観に移ります。
①英語
内部生が口をそろえて言うのは、「英語は簡単」ということでした。
A4で1ページから1.5ページの長文読解が4題、これを2時間で解きます。
けっこう時間はないので焦ります。
出題されるテーマとしては公衆衛生に関連するもので、確か今年は”紛争と医療”、”画像診断”、”研究デザインとバイアス”、”健康格差”についてだったような気がします。
テーマだけ見ると、分野違いの方には「うっ」とくるものがあるかもしれませんが、出題される文章は論文のようにカチカチしたものでなく、エッセイ、読み物としての英文がほとんどのように思えます。
ですので、そこまで専門性の高い英語を理解する力は求められません。
学部時代に、卒論を書くために英語文献を読み込んできた方であれば、特にストレスなくこなせるレベルだと思います。
出題される英文は公衆衛生に関するものになっておりますので、予めその分野についてある程度の知識を持っておくと、「ああ、こういうことが言いたいんだな」ということが分かり、よりスムーズに読めるようになるかと。
「じゃあそのためには何を読んだらいいの?」という意見があるかもしれませんが、それはまた各論で書いていきます。
②公衆衛生一般
昨年までは公衆衛生一般は40題くらい出題されたのですが、今年からは半分の20題でした。回答時間は約50分(公衆衛生一般+統計で100分与えられています)。1問あたり2.5分なので余裕です。
これまでは過去問と類似した問題が出ていたので、「過去問やっとけば大丈夫」という分野だったのですが、今年からはだいぶ出題傾向が変わっています。
罹患率や感度・特異度、疫学デザインに関する問題は過去問同様でしたが、他は所見のものばかりでした。
内容は国内の公衆衛生に関して一般的な問題から、非常にマニアックなものまで。
前者は医師国家試験のクエスチョンバンクなるものが一番出題傾向が近い気がしますが、来年からどうなっていくかは分かりません。
後者は受験者の大半が解けないと思うので、無視して良いかと思われます。
③統計
公衆衛生一般と合わせての試験になります。だいたい50分で20題。”英語”や”専門”に比べればずいぶん余裕があるはずです。
自分は勉強を始める前は、「ぜったい無理、統計無理。」という感じでしたが、統計の基礎的な本を何冊か読んでみると(イラストで可愛く説明してくれてるような、ほんとに基礎的なやつ)、「ん?この問題ってめっちゃ基本的なやつなんじゃね?」ということがわかってきました。
SPHのホームページでは「統計検定2級に相当する問題」と紹介されていますが、実際はそんなに難しくないです。基本的な公式を理解していれば、応用力がなくとも解けます。苦手意識を持たずに、地道に頑張ることが大切ですね。自分は統計の勉強をする以前に、微分積分がチンプンカンプンだったので、YouTubeの解説動画で勉強して、下準備をしました。
ちなみに、SPHの入試で出題される問題と、ほぼ難易度、傾向が類似した問題ばかり掲載されている参考書があるので、各論でお伝えします。
④専門
疫学、医学統計、予防医学、健康教育、精神保健、医療倫理、医事法、公衆衛生調査方法論、医療情報システムの9題の中から4題を選んで、1題あたり20分で解きます。
大切なのは、9題の難易度がばらばらであるということ。
「20分じゃ無理だろ?」というチンプンカンプンなものから、「常識で解けるんじゃないか?」という簡単なものまで様々です。
ですので、どの問題を解くのかをあらかじめ決めておいて、決め打ちでいくのが良いかと思われます。
”専門”は教授のクセがもろに出る科目だと思うので、予めその教授が書いた本や論文を読んでおくと、かなり回答しやすくなるかもしれません。
それはまた各論で紹介します。
⑤小論文
確かテーマは毎年固定で、「自らの実務経験や知識に基づいて、公衆衛生上の課題と対策について論ぜよ」だったかと思われます(少し違うかもしれませんが、大筋は一緒のはずです)。
ですので、会場では前もってA4一枚の小論文を作成しておいて、試験開始までそれを眺めている人たちも何人かいました。自分は面倒だったのでやっていませんが、何を書くかと言うことはある程度は頭のなかでは考えておきました。
おそらく、小論文の内容は1次試験の合否には関わらないかと思います(無記入とか、公衆衛生と全く関係ないとかであれば別でしょうが)。
2次試験の面接が、この小論文に基づいて展開されたという報告も聞いておりますので、そのための材料として設けているのかもしれません。
以上、SPH試験の概観についてでした。
次回からか各科目の各論です。
おすすめの参考書や、出題される問題の癖、出題者であろうと思われる教授の論文、著書などを紹介していきます。
SPH受験に関するブログはいくつかありますが、自分は内部生としての目線から書いていこうかと。
受験問題を作成している教授たちの授業も日々受けていたので、過去問を解いていても「あ、これ~教授の問題だな」というのもやんわりと分かりました。なので内部生の目線から、出題者が求めているであろう回答や、出題者である教授が授業の中で繰り返し言っていた重要点、参考書、論文などについてもゆくゆくはご紹介できればと思います。
さて、試験の内容について。
1次試験の筆記試験と、2次試験の面接に分かれていますが、2次で落ちることはほぼないかと思うので、1次についてのみ書いていきます。
前回のブログで、東大のSPHはしっかりと準備しておけば難しくないということを書いたのですが、それについて追記。
SPH受験の良いところは、純粋な筆記のみの試験であり、海外の大学院のようにGPA、履歴書や志望理由、これまでの研究業績は一切不問になるということです。TOEFLやIELSのような英語力の証明書も必要なし。
3万円の受験料さえ払ってしまえば、あとは筆記試験を受けるのみという大変シンプルな選考方法です。
受かるかどうかは筆記試験で点数を取れるかどうかという一点にのみかかっています。
ちなみに筆記試験の難易度についてですが。
自分は健康総合科学科から進学しているため、いわゆる”内部生”という括りになります。
ですので、受験前に既にSPHに所属している同級生や先輩に試験の難易度について聞いたところ、理系出身の生徒は「過去問を少し見ておけば、まず落ちない」という意見が多く、文系出身の生徒は「結構しっかり勉強した」という意見が多かった気がします。
理系の友人は、数週間、もしくはまったく準備なしで合格していた気がします。
文系の友人は2~3か月の準備期間というところでしょうか。私も、働きながらでなかなか時間を取ることができなかったので、3か月前からしっかり準備を始めました。仕事を終えて帰ってきたら毎日2,3時間くらいの勉強でしょうか。休日は丸々でした。
おそらく、文理で意見が分かれる大きな理由が疫学・統計学でしょう。
私も文系出身者で、学部時代はどにかく統計学が苦手でした・・・
統計学の試験も2年連続で不可になり、3年目にようやく追試で合格させてもらえたほどです・・・
さて、各科目の外観に移ります。
①英語
内部生が口をそろえて言うのは、「英語は簡単」ということでした。
A4で1ページから1.5ページの長文読解が4題、これを2時間で解きます。
けっこう時間はないので焦ります。
出題されるテーマとしては公衆衛生に関連するもので、確か今年は”紛争と医療”、”画像診断”、”研究デザインとバイアス”、”健康格差”についてだったような気がします。
テーマだけ見ると、分野違いの方には「うっ」とくるものがあるかもしれませんが、出題される文章は論文のようにカチカチしたものでなく、エッセイ、読み物としての英文がほとんどのように思えます。
ですので、そこまで専門性の高い英語を理解する力は求められません。
学部時代に、卒論を書くために英語文献を読み込んできた方であれば、特にストレスなくこなせるレベルだと思います。
出題される英文は公衆衛生に関するものになっておりますので、予めその分野についてある程度の知識を持っておくと、「ああ、こういうことが言いたいんだな」ということが分かり、よりスムーズに読めるようになるかと。
「じゃあそのためには何を読んだらいいの?」という意見があるかもしれませんが、それはまた各論で書いていきます。
②公衆衛生一般
昨年までは公衆衛生一般は40題くらい出題されたのですが、今年からは半分の20題でした。回答時間は約50分(公衆衛生一般+統計で100分与えられています)。1問あたり2.5分なので余裕です。
これまでは過去問と類似した問題が出ていたので、「過去問やっとけば大丈夫」という分野だったのですが、今年からはだいぶ出題傾向が変わっています。
罹患率や感度・特異度、疫学デザインに関する問題は過去問同様でしたが、他は所見のものばかりでした。
内容は国内の公衆衛生に関して一般的な問題から、非常にマニアックなものまで。
前者は医師国家試験のクエスチョンバンクなるものが一番出題傾向が近い気がしますが、来年からどうなっていくかは分かりません。
後者は受験者の大半が解けないと思うので、無視して良いかと思われます。
③統計
公衆衛生一般と合わせての試験になります。だいたい50分で20題。”英語”や”専門”に比べればずいぶん余裕があるはずです。
自分は勉強を始める前は、「ぜったい無理、統計無理。」という感じでしたが、統計の基礎的な本を何冊か読んでみると(イラストで可愛く説明してくれてるような、ほんとに基礎的なやつ)、「ん?この問題ってめっちゃ基本的なやつなんじゃね?」ということがわかってきました。
SPHのホームページでは「統計検定2級に相当する問題」と紹介されていますが、実際はそんなに難しくないです。基本的な公式を理解していれば、応用力がなくとも解けます。苦手意識を持たずに、地道に頑張ることが大切ですね。自分は統計の勉強をする以前に、微分積分がチンプンカンプンだったので、YouTubeの解説動画で勉強して、下準備をしました。
ちなみに、SPHの入試で出題される問題と、ほぼ難易度、傾向が類似した問題ばかり掲載されている参考書があるので、各論でお伝えします。
④専門
疫学、医学統計、予防医学、健康教育、精神保健、医療倫理、医事法、公衆衛生調査方法論、医療情報システムの9題の中から4題を選んで、1題あたり20分で解きます。
大切なのは、9題の難易度がばらばらであるということ。
「20分じゃ無理だろ?」というチンプンカンプンなものから、「常識で解けるんじゃないか?」という簡単なものまで様々です。
ですので、どの問題を解くのかをあらかじめ決めておいて、決め打ちでいくのが良いかと思われます。
”専門”は教授のクセがもろに出る科目だと思うので、予めその教授が書いた本や論文を読んでおくと、かなり回答しやすくなるかもしれません。
それはまた各論で紹介します。
⑤小論文
確かテーマは毎年固定で、「自らの実務経験や知識に基づいて、公衆衛生上の課題と対策について論ぜよ」だったかと思われます(少し違うかもしれませんが、大筋は一緒のはずです)。
ですので、会場では前もってA4一枚の小論文を作成しておいて、試験開始までそれを眺めている人たちも何人かいました。自分は面倒だったのでやっていませんが、何を書くかと言うことはある程度は頭のなかでは考えておきました。
おそらく、小論文の内容は1次試験の合否には関わらないかと思います(無記入とか、公衆衛生と全く関係ないとかであれば別でしょうが)。
2次試験の面接が、この小論文に基づいて展開されたという報告も聞いておりますので、そのための材料として設けているのかもしれません。
以上、SPH試験の概観についてでした。
次回からか各科目の各論です。
おすすめの参考書や、出題される問題の癖、出題者であろうと思われる教授の論文、著書などを紹介していきます。
東京大学公衆衛生大学院の受験について① 【受験の理由】
東大の公衆衛生大学院(School of Public Health)の受験記を書いていきます。
東大の公衆衛生大学院(以下SPH)は国内では数少ないMaster of Public Healthの修士号が取得できる大学院過程です。
その専攻は多岐にわたっており、健康教育、健康増進科学などの行動社会医学分野から、生物統計学や社会予防疫学などの疫学分野、そして医療情報システム学や法医学などの医療科学分野と様々です。
ここら辺はホームページを見てもらうのが一番わかりやすいかと。
SPHは専門職大学院という扱いで、1年カリキュラムと2年カリキュラムがあります。一学年の人数は前者が10人、後者が20人くらい。
詳しい説明は上記ホームページを参照してください。
前置きはこれで終わり。
以下、受験記となります。
今回は東大のSPHを選んだ理由を書いていきます。
①なぜSPHを選んだのか
私は将来、国境なき医師団でIECとして働きたいと思っています。
そのためには国際保健、社会学、または文化人類学の修士号が必要です。
元々が文系と言うこともあり、専攻をSPHにするか、それとも文化人類学にするかはギリギリまで迷っていたのですが、将来のキャリアを広げるという意味で、カードとして使い勝手の良いであろうSPHを選択しました(私は働いたことがないのでわかりませんが、国際機関の中にはMaster of Public Healthを持っていないと門前払いというところもあるという話は良く耳にします)。
MPHを取得した後に、修士留学で文化人類学を専攻しても良いですし、東大SPHの中には文化人類学的アプローチでの研究を許容してくれるであろう研究室もありましたので、大学院のファーストキャリアとしてはSPHがベターだったのではないかと思っております。
*SPH、MPHと書いていて混乱される方もいらっしゃるかもしれませんが、SPHはSchool of Public Health、つまり公衆衛生を学ぶ大学院そのものを指し、MPHはMaster of Public Health、つまり大学院で取得できる公衆衛生の修士号のことを指します。
②なぜ東大なのか
第一に、学部が東大の医学部健康総合科学科の出身でしたので、日々SPHの先生方の授業を受けており、馴染みがありました。先生方の学問への姿勢、厳しさを目の当たりにしており、この人たちに指導してもらいたいという気持ちは強かったです。また、打算的になってしまいますが、東大の先生方は国際的に活躍されている方が多く、海外留学をするうえでも先生方に支援してもらえれば心強いなと感じました。
第二に、学生へのバックアップの手厚さです。これは学部時代から有難く感じておりましたが、東大は学生が学ぶことへのバックアップが非常に手厚いです。入学金免除、学費免除は割と簡単に下りますし(とはいっても両親合わせての年収が400万円以下くらいが目安でしょうが)、何より留学支援が非常に充実しています。世界中の大学と提携を結んでおり、交換留学という形で1年間の留学をさせてもらえます(もちろん選考はありますが、通過率を見る限りではそこまで壁は高くないかと)。あと地味に嬉しいのがジム。年間契約をすれば、確か数千円でプールとトレーニングジムが使いたい放題になります。
③なぜ海外でなく国内なのか
これは上に述べたポジティブな理由と違い、ネガティブな理由です。
もし私にいきなりハーバードやジョンスホプキンスのMPHに留学するだけの土台があれば、間違いなくそちらを選択していました。
しなかった理由の第一がお金。
貯金も少なく、親の支援も望めないため(大学時代も学費、生活費、家賃はすべて自分で賄っておりました)、アメリカの超高額な学費を賄える自信がありませんでした。学部時代に明確な実績を残せたわけでもないので、全額免除の奨学金を取得することも難しかったと思います。
二つ目の理由は成績。
私の学部時代のGPAは3.0を切っており、学部→修士で留学するには絶望的です。卒論も原著でアクセプトはさせているものの、日本語論文なので実績にもなりません。アピールポイントが弱く、現時点での合格は無理だと判断しました。
三つ目の理由は英語。
日常会話ならいけますが、統計や疫学の専門的議論を英語でする自信はありません。なので、まずは日本語で公衆衛生の素地をしっかりと固めようと思いました。
以上が東大のSPHを選択した理由になります。
次回からは受験対策について書いていきます。
そして、これは受験記全体を通して伝えていきたいことなのですが、東大の学部入試と比べると、大学院入試に必要な労力はとても少ないです。ある程度、大学受験でトレーニングを積んできている人であれば3か月の準備で、人によっては数週間から1か月の準備でも合格できるかと思われます。
なぜなら、学部入試が思考力を問う応用問題を出すのに対して、大学院入試で出る問題は基礎中の基礎。出題される分野の基本的な考え方を身に着けていれば、それで充分に対応できます。
具体的な対策については次回から書きますね。
おやすみなさい。
東大の公衆衛生大学院(以下SPH)は国内では数少ないMaster of Public Healthの修士号が取得できる大学院過程です。
その専攻は多岐にわたっており、健康教育、健康増進科学などの行動社会医学分野から、生物統計学や社会予防疫学などの疫学分野、そして医療情報システム学や法医学などの医療科学分野と様々です。
ここら辺はホームページを見てもらうのが一番わかりやすいかと。
SPHは専門職大学院という扱いで、1年カリキュラムと2年カリキュラムがあります。一学年の人数は前者が10人、後者が20人くらい。
詳しい説明は上記ホームページを参照してください。
前置きはこれで終わり。
以下、受験記となります。
今回は東大のSPHを選んだ理由を書いていきます。
①なぜSPHを選んだのか
私は将来、国境なき医師団でIECとして働きたいと思っています。
そのためには国際保健、社会学、または文化人類学の修士号が必要です。
元々が文系と言うこともあり、専攻をSPHにするか、それとも文化人類学にするかはギリギリまで迷っていたのですが、将来のキャリアを広げるという意味で、カードとして使い勝手の良いであろうSPHを選択しました(私は働いたことがないのでわかりませんが、国際機関の中にはMaster of Public Healthを持っていないと門前払いというところもあるという話は良く耳にします)。
MPHを取得した後に、修士留学で文化人類学を専攻しても良いですし、東大SPHの中には文化人類学的アプローチでの研究を許容してくれるであろう研究室もありましたので、大学院のファーストキャリアとしてはSPHがベターだったのではないかと思っております。
*SPH、MPHと書いていて混乱される方もいらっしゃるかもしれませんが、SPHはSchool of Public Health、つまり公衆衛生を学ぶ大学院そのものを指し、MPHはMaster of Public Health、つまり大学院で取得できる公衆衛生の修士号のことを指します。
②なぜ東大なのか
第一に、学部が東大の医学部健康総合科学科の出身でしたので、日々SPHの先生方の授業を受けており、馴染みがありました。先生方の学問への姿勢、厳しさを目の当たりにしており、この人たちに指導してもらいたいという気持ちは強かったです。また、打算的になってしまいますが、東大の先生方は国際的に活躍されている方が多く、海外留学をするうえでも先生方に支援してもらえれば心強いなと感じました。
第二に、学生へのバックアップの手厚さです。これは学部時代から有難く感じておりましたが、東大は学生が学ぶことへのバックアップが非常に手厚いです。入学金免除、学費免除は割と簡単に下りますし(とはいっても両親合わせての年収が400万円以下くらいが目安でしょうが)、何より留学支援が非常に充実しています。世界中の大学と提携を結んでおり、交換留学という形で1年間の留学をさせてもらえます(もちろん選考はありますが、通過率を見る限りではそこまで壁は高くないかと)。あと地味に嬉しいのがジム。年間契約をすれば、確か数千円でプールとトレーニングジムが使いたい放題になります。
③なぜ海外でなく国内なのか
これは上に述べたポジティブな理由と違い、ネガティブな理由です。
もし私にいきなりハーバードやジョンスホプキンスのMPHに留学するだけの土台があれば、間違いなくそちらを選択していました。
しなかった理由の第一がお金。
貯金も少なく、親の支援も望めないため(大学時代も学費、生活費、家賃はすべて自分で賄っておりました)、アメリカの超高額な学費を賄える自信がありませんでした。学部時代に明確な実績を残せたわけでもないので、全額免除の奨学金を取得することも難しかったと思います。
二つ目の理由は成績。
私の学部時代のGPAは3.0を切っており、学部→修士で留学するには絶望的です。卒論も原著でアクセプトはさせているものの、日本語論文なので実績にもなりません。アピールポイントが弱く、現時点での合格は無理だと判断しました。
三つ目の理由は英語。
日常会話ならいけますが、統計や疫学の専門的議論を英語でする自信はありません。なので、まずは日本語で公衆衛生の素地をしっかりと固めようと思いました。
以上が東大のSPHを選択した理由になります。
次回からは受験対策について書いていきます。
そして、これは受験記全体を通して伝えていきたいことなのですが、東大の学部入試と比べると、大学院入試に必要な労力はとても少ないです。ある程度、大学受験でトレーニングを積んできている人であれば3か月の準備で、人によっては数週間から1か月の準備でも合格できるかと思われます。
なぜなら、学部入試が思考力を問う応用問題を出すのに対して、大学院入試で出る問題は基礎中の基礎。出題される分野の基本的な考え方を身に着けていれば、それで充分に対応できます。
具体的な対策については次回から書きますね。
おやすみなさい。
Mr. wisteriaより
旅の前、知恵を授かるために訪問。
関係構築のためにはともかくまずは話を聞くこと。
文化が違うとはいえ、そのスタンスは変わらない。
その中で相手の価値観を掴む。
言葉は悪いが、吐き出させること。
ただ、その文化の中でのタブーは最低限抑えておく必要はある。
あとは、とにかく現地に行って、現地の人の話を聞く。
ドライバーや通訳など(信頼できる人に限る)に話を聞き、その地の文脈を掴む。
ステレオタイプとして振舞うことが大切。
相手の理解者であるという姿勢を見せること。
相手がジェノサイドの張本人であろうとしても、「やりたくてやったわけじゃないもんな」と。
まず心を開かせないと、取材もくそもない。
危機管理の方法を学ぶには。
小さな失敗を積み重ねることが大切。
大きな失敗をすると死ぬが、小さな失敗ならお金を取られる程度。
その小さな失敗から、大きな失敗を想像して、回避する術を身に着ける。
一番いいのは誰かと一緒に行動すること。
明らかに高そうなものは身に着けない。
いかにも金がない様子をアピール。
関係構築のためにはともかくまずは話を聞くこと。
文化が違うとはいえ、そのスタンスは変わらない。
その中で相手の価値観を掴む。
言葉は悪いが、吐き出させること。
ただ、その文化の中でのタブーは最低限抑えておく必要はある。
あとは、とにかく現地に行って、現地の人の話を聞く。
ドライバーや通訳など(信頼できる人に限る)に話を聞き、その地の文脈を掴む。
ステレオタイプとして振舞うことが大切。
相手の理解者であるという姿勢を見せること。
相手がジェノサイドの張本人であろうとしても、「やりたくてやったわけじゃないもんな」と。
まず心を開かせないと、取材もくそもない。
危機管理の方法を学ぶには。
小さな失敗を積み重ねることが大切。
大きな失敗をすると死ぬが、小さな失敗ならお金を取られる程度。
その小さな失敗から、大きな失敗を想像して、回避する術を身に着ける。
一番いいのは誰かと一緒に行動すること。
明らかに高そうなものは身に着けない。
いかにも金がない様子をアピール。
Dr. Colorより
プライマリ・ヘルス・ケアは医療化の地平の向こう側で仕事をするということ。
単価の高い医師を送り込み、その人の手で人を助けるという方法には限界がある。
医者がいないところで、現地の資源を使い、現地の人々を教育して、医療化を進める。
それがプライマリ・ヘルス・ケア。
それは看護師であり、保健師の仕事。
「割に合わない」という本音が漏れたが、ケアとは本来割に合わない仕事。
お金に換算されないところで、人が人を助けてきた。
だから人類は続いてきた。
ネガティブケイパビリティ―。
理不尽な状況を理不尽なままに耐える。
安易に答えを出さない。
医師は答えを出す仕事。
看護師は答えが出ないまま、それに耐えて働く仕事。
やっていることがまるで違う。
出会いなおし。
これから、家族と、友人と、嫌いな人、苦手な人と出会いなおしていくことが大切。
その中で友情を作っていく。
単価の高い医師を送り込み、その人の手で人を助けるという方法には限界がある。
医者がいないところで、現地の資源を使い、現地の人々を教育して、医療化を進める。
それがプライマリ・ヘルス・ケア。
それは看護師であり、保健師の仕事。
「割に合わない」という本音が漏れたが、ケアとは本来割に合わない仕事。
お金に換算されないところで、人が人を助けてきた。
だから人類は続いてきた。
ネガティブケイパビリティ―。
理不尽な状況を理不尽なままに耐える。
安易に答えを出さない。
医師は答えを出す仕事。
看護師は答えが出ないまま、それに耐えて働く仕事。
やっていることがまるで違う。
出会いなおし。
これから、家族と、友人と、嫌いな人、苦手な人と出会いなおしていくことが大切。
その中で友情を作っていく。