MSFによるIEC募集説明会に参加した。
IECの希望者は数人しかいないと思っていたのだが、以外にも質問コーナーには10名近くの人が集まっていた。
以下、今回の説明会で聞き知ったことを書いていく。


まず、今回の説明会でお話しくださったスタッフの方が「なぜMSFを選んだのか」ということについて。

・90%以上を民間寄付に寄っているため、政治や宗教の柵に縛られない、迅速な始動・決断が行える。世界のどこで緊急事態が起こっても、48時間以内に活動を展開できる体制を整えている。寄付金についても、「お金をもらったから何かしよう」ではなく、その地でMSFにできることがない時には寄付金を受け取らないし、たとえもらっても返金するのだという。多くの国内NGOが日本政府の下請けのようになっているのに対し、MSFはその資金獲得方法によって類まれな独立性を維持している。


次にIECの活動について。
IECとは、Inforamtion、Education、Communicationの頭文字をとっている。IECの仕事は多岐に渡るが、その仕事はMSFと現地の橋渡しをし、MSFがスムーズに活動できるような土台作りをすることだそうだ。

まずInforamtionについて。
緊急支援活動を展開するMSFの活動地は、”緊急事態が発生した場所”であるから、見ず知らずの土地で初動を展開することもあるだろう。その際に、IECは現地health promoterと協力して、その地の文化や風俗、人口構成、医療資源などの情報を集積し、分析する。この時に、現職のIECであるS氏は住民の話を聞くためにフォーカスグループインタビューなどの社会学の手法が役に立ったという。

次にCommunicationについて。
MSFが現地に到着しても、そこで「はい始め」といって突然活動を始められるわけでもない。
自分の身になって考えてみても、普段自分が暮らす地域に、突然見ず知らずの国の医療チームがやってきて、あれこれ引っ掻き回されるのには拒絶感があるだろう。だから、MSFは活動を展開する以前に、その地域のチームリーダーと充分にコミュニケーションをとる必要がある。それが、Communicationの仕事である。S氏は、「IECの武器は言葉。だから、言語はしっかりと自分のものにしておく必要がある。」と言っていた。また、予防接種などを行う際にも、ただ実施すれば人が来てくれるというわけではない。地域住民にその活動を周知して、そうしてようやく住民が予防接種会場に足を運んでくれるのである。

最後にEducationについて。
これが一番、保健師としての私には想像がしやすい業務かもしれない。よって詳細は省くが、質問に答えてくださったことによると、この健康教育もやったらやりっぱなしではなく、しっかりと効果測定をする必要があり、それもまたIECの役割の一つである。


IECの活動について初めて現職の方の話を聞いて思ったのは、その仕事は一言で表すならば”対話”にあるということである。
IECは”対話”によって地域の情報を集め、コミュニティとの関係を作り、健康教育を実践する。